1)本学「実践型UECデータサイエンティスト養成プログラム」の実施
データ教育センターは、「電気通信大学 実践型UECデータサイエンティスト養成プログラム」の実施母体となっています。本教育プログラムは、「AIを創る人材」と「AIを使いこなす人材」を育成する教育プログラムを実践し、座学では終わらない実社会で活用できるスキルを身に付けることを特色としています。図書館など学内施設で収集したデータや、データ関連人材育成プログラム参加企業から提供されたビッグデータを活用したデータサイエンス教育を実践するとともに、サイバーセキュリティ推進校として学内外の教育普及にも取り組んでおります。
本教育プログラムを通して、学生が、高度コミュニケーション社会において、日常の生活や仕事の場で、データを使いこなすことができる素養を修得することを目標としています。さらに、学修した数理・データサイエンス・AIに関する知識や技能をもとに、データを取り扱う際には、人間中心の適切な判断を行うことができ、自らの意志でAIを利活用できるようになることを学修目標としています。
2)特定分野校としての活動
A.教材開発とその普及展開
A-1.「量子AI・データサイエンス叢書」の刊行
本学のデータサイエンス関連科目の授業で使用しているオンライン教材を教科書として書籍化するため、令和4年度より各担当教員が執筆を進めています。また、教員のみならず、企業で活躍するトップレベルのデータサイエンティストにも執筆を依頼し、平易で、かつ実践的な内容の教科書になるように工夫しています。
令和4年度より執筆を進めている教科書を、学術図書出版社から「量子AI・データサイエンス叢書」として販売しています。具体的には、「実践AI・データサイエンス入門」、「コンピュータサイエンス入門」、「実践・確率統計」、「実践・ディープラーニング」、「実践・ゲーム情報学」などの教科書をシリーズとして順次刊行していく予定となっており、その第一弾として、令和5年3月に、「実践マーケティングデータサイエンス」を刊行しました。これらの教科書は、「リテラシーレベル」と「応用基礎レベル」のどちらのレベルの授業においても使用可能となるように、内容を難易度別に分類、整理し、執筆しています。
<教科書>
量子AI・データサイエンス叢書 実戦マーケティングデータサイエンス(学術図書出版)
A-2. 理工系教材の提供
本学で開発中の「確率・統計」、「Pythonプログラミング」、「コンピュータサイエンス」の初学者向けe-learning教材の普及・展開を進め、希望する大学等に提供していく計画です。これらの教材は、例えば、文科系学部の学生で数理系の基礎学力が不足している学生が、データサイエンスを学ぶための基礎学力の補習用として利用することを想定しています。
B.サイバーセキュリティ教育の普及展開
2024年3月22日に、数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアム・2023年度関東ブロック第8回ワークショップ「データサイエンスにおけるサイバーセキュリティ教育事例」を主催し、数理・データサイエンス・AI教育プログラム認定制度(応用基礎レベル)の認定を受けた理工系の3大学におけるサイバーセキュリティ教育の取り組みを紹介したのち、総合討議などを通じて情報提供を行いました(オンライン参加者122名)。
数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアム 関東ブロック
2023年度 第8回ワークショップ「データサイエンスにおけるサイバーセキュリティ教育事例」
現在、あらゆる産業・分野 で高度情報セキュリティ人材が不足する中、世界的IT企業(Microsoft、Google等)の多くは、限られたリソースで自社のソフトウェアやサービスの安全性を高めるため、コンテスト形式によるアプリケーションや情報システムの脆弱性発見を報奨する仕組みを採用しています。本学においても高度セキュリティ人材の育成と学内情報システムの安全性確保のための取組として、2022年度より、学生による情報セキュリティ検査コンテスト「UEC Bug Bounty」(UEC-BB) を開催しています。その他にも従来から全学生と全教職員に対して、情報倫理教育のeラーニング教材「INFOSS情報倫理」を受講させ、テストに合格することを毎年義務付けています。
こうした本学におけるサイバーセキュリティ分野の教育強化に資する取組については、今後、数理・データサイエンス・AI教育強化拠点コンソーシアムのサイバーセキュリティ校会議を通じて、他大学等への普及・展開を進める予定です。
データ教育センターは、上記のような活動をその中核となって推進し、毎年度サイバーセキュリティ分野の教育強化に資するシンポジウムやワークショップを開催して、上述のような本学の取組を普及展開していきます。