2025年11月19日(水)、東京都立武蔵高等学校にて「実践データサイエンス」に関する出張講義を実施しました。担当は、佐野遼太郎特任助教です。
本授業は、昨年度に引き続き、2年連続での実施となり、今年も生徒たちがデータサイエンスの面白さを体験する貴重な機会となりました。
講義内容
今回の講義は、同校の1年生18名を対象に実施しました。テーマは「データサイエンス・エンジニアリング・人工知能」で、生徒たちがプログラミングとデータサイエンスを身近に感じ、実生活での活用方法を理解できるよう、以下のような実践的な内容を行いました。
実習内容
Webスクレイピング体験
東京都立武蔵高等学校の進学実績データを、実際に同校のウェブサイトから取得し、データクレンジングを行った上で、来年度の合格者数を予測する分析を実施しました。「電気通信大学への合格者数」の予測結果などに、生徒たちからは驚きの声が上がりました。
AI画像認識実験
最新の骨格推定AIを使って、生徒自身の写真から人物の関節位置を自動検出する体験を実施しました。防犯カメラやスポーツのフォーム分析に使われている技術を、実際に体験しました。認識率は96%程度で、変わったポーズでAIを「騙せるか」といった実験も行われました。
数理最適化バトル(確率シミュレーションゲーム)
仮想の予算10万円から始め、異なる成功確率とリターン倍率を持つ3つの選択肢で10万回の試行を行い、最終的な成果を競うシミュレーションゲームを実施しました。生徒たちは投資する割合を調整しながら、試行錯誤を重ねました。中には130億円を超える結果を出した生徒もいました。その後、数学的に最適な資源配分の割合を導き出す「ケリー基準(Kelly Criterion)」の理論を学び、直感ではなく、データとロジックで戦略を導く重要性を理解しました。
データサイエンスの入り口として
冒頭、佐野特任助教からは、「数学って世の中の何の役に立つの?」という高校生の素朴な疑問に対し、グラフ理論を使った「マッチング問題」や「最適停止問題」など、人と人との関係性を数学的に分析する身近な例を紹介しました。数学の実用性と魅力を伝えました。
また、プログラミングについては「同じ作業を3回以上やるなら自動化できる」という考え方を提示しました。電車の遅延情報を自動取得して投稿するといった具体例を通じて、日常生活を楽にする「自動化の醍醐味」を伝えました。
生徒からの感想
「学校で習ったことが社会でどう役立つのかを、Pythonで実際にプログラミングすることで理解できた。人間の感覚を数値化できることに驚き、データとプログラミングを組み合わせる面白さを感じた。」
「PCで実際に手を動かす講義形式が面白かった。元々Pythonに興味があったが、今回の講義でプログラミングでできることの幅が広がり、様々な分野への興味が生まれた。」
「情報系の学科に進路を考えていたが、何をやるのか分からなかった。今回の講義で、難しさと面白さの両方を感じ、進路選択に影響があった。」
当日参加した生徒の皆さんからは上記のような感想が寄せられました。最初は、「プログラミングは難しそう」「データサイエンスは自分には関係ない」という印象を持っていたようですが、授業を通じて「こんなに身近なことに使えるんだ」「少しのコードでこんなことができるなんて驚き」という新たな発見を得られた様子でした。
講師からのコメント
昨年度に引き続き、今年も武蔵高校の生徒の皆さんと一緒に学べて嬉しく思います。今回の講義も、昨年に引き続き、理論だけでなく実際に手を動かして体験してもらうことを重視しました。金融や野球データ分析、危険運転検知AI、東京オリンピックの自動採点システムなど、自身の実務経験も交えながら、データサイエンスが直感や経験だけでなく、データとロジックで最適解を導き出す分野であることを伝えました。
数理最適化は、災害時の医療リソース配分や効率的な配送ルートの設計など、社会的に重要な問題解決にも応用できる分野です。今回の体験が、将来の進路選択の一助となれば幸いです。
おわりに
デジタル社会が進展する中で、データを読み解き活用する力は、これからの時代を生きる若者にとって必要不可欠なスキルとなっています。今回の講義を通じて、生徒たちにとってデータサイエンスが身近で実用的な学問であることを実感してもらえたのではないでしょうか。 今後も電気通信大学データ教育センターでは、より多くの中学・高校生がデータサイエンスを体験し、将来の可能性を広げられるよう、出張講義や教材開発に取り組んでまいります。データ活用能力を身につけることで、生徒たちが社会の課題解決に貢献できる人材として成長していくことを願っています。
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